松本清張が「砂の器」を書くまで:ベストセラーと新聞小説の一九五〇年代Matsumoto Seicho ga "Suna no utsuwa" o kakumade : besutosera to shinbun shosetsu no senkyuhakugojunendai
価格(Price ¥) :
4,000円
ISBN
9784657208026
Series
シリーズ
Waseda daigaku eupurakushisu sosho ; 21
早稲田大学エウプラクシス叢書;21
早稲田大学エウプラクシス叢書;21
Publisher
出版社
Waseda Daigaku Shuppanbu
早稲田大学出版部
早稲田大学出版部
Pub. place
出版地
Tokyo
東京
東京
Pub. date
出版日
2020.02
Status
状態
Ref No.
JPTB2002-0128
NDC
9: Literature 文学
清張はいかにして国民的作家になったのか ?!
新進作家が地位と名誉とカネを手に入れ「現代の英雄」になるためには、マスコミの王者といわれた新聞で連載小説をヒットさせるのが近道だった。特に新聞が圧倒的存在感を示した1950年代は、そうであった。清張初の新聞小説「野盗伝奇」(1956年)は、共同通信の配信を通じて地方紙の夕刊に掲載された。新聞小説は掲載が夕刊か朝刊か。地方紙かブロック紙か、それとも全国紙かによって作家の成否を分けたと著者は分析する。読売新聞で1960年に連載が始まる「砂の器」により、清張は「現代の英雄」に大きく近づいた。とはいえ、全国紙から与えられた紙面は夕刊にすぎなかった。1000万人の読者数を誇るのは夕刊ではなく、朝刊だった。
清張が超えなければならない壁は三つあった。一つは、全国紙の朝刊を占めていたベテラン作家たち。残る二つとは…。
小説のうち今も最大の読者数を持つ新聞小説。その新聞小説と作家の深い関係に迫る著者の考察力は、学術書の領域を飛び越え、清張の推理小説に共通するスリリングさと展開力にあふれている。
A5判、292頁