日本奇術演目大事典

日本奇術演目大事典Nihon kijutsu enmoku daijiten

価格(Price ¥) : 36,000円
ISBN 9784490109238
Series シリーズ
Author 著者 Kawai, Masaru
河合勝
Publisher 出版社 Tokyodo Shuppan
東京堂出版
Pub. place 出版地 Tokyo
東京
Pub. date 出版日 2021.09
Status 状態
Ref No. JPTB2109-0076
NDC 7: Art. Sports.Recreation 芸術,スポーツ,娯楽
日本奇術の多くは中国から伝わったが、それが長い年月を経て、日本の文化に溶け込む形で変容していった。そして天下泰平の江戸時代を迎え、文化の爛熟期となる元禄期(一六八八~一七〇四)頃から数々の手品伝授本が発行され、それを元に庶民が余興としての手品を楽しむ時代を迎えた。また職業奇術師は大道から寄席、小屋へと活動の場を広げていった。特に江戸後期には、手品、軽業、曲独楽の名人が数多く輩出し、最盛期を迎えた。人が集まる寺社界隈や大橋のたもとには多くの見世物小屋が立ち並び、人々は競うようにこれらの芸能を楽しんだ。なかでも、歌舞伎や浄瑠璃から題材を得て構成された「芝居仕立ての奇術劇」は、特に人気が高かった。このようにして、日本の手品は世界に類をみない独自の発展を遂げたのである。
江戸時代に発行された手品伝授本は約二一○種である。これらの伝授本に記された演目数を合計すると、その数は数千種に及ぶ。ところが、この中には現在は手品に分類されない秘伝ものやまじない、生活の智恵、遊びなどが数多く含まれており、また内容も時代が下がるにつれて次々と孫引きされていった。そこで重複する演目を整理し、さらに職業奇術師の興行演目を加えると江戸時代の日本奇術は数百種にものぼる。
本書では、江戸時代から令和時代までの日本手品など一〇五四種を現象別、素材別、仕掛け別、年代別等に二○項目に分類し、そのうち六五一種を図説、残りの四〇三種は原文の翻刻を載せた。この中にはプロが演じる高度なものから、庶民が余興として演じるものまで含まれている。これらによって先人が構築した日本手品の全容を知ることができるといえよう。
なお、図説には、図版とその出典、原文の翻刻、現代語訳、手品の現象と方法、演じ方、関連の古記録、初出の伝授本、同演目所載の伝授本、西洋手品との比較、現代の方法などを記載した。
B5判 /847ページ