戦争とデータ:死者はいかに数値となったか

戦争とデータ:死者はいかに数値となったかSenso to deta : shisha wa ikani suchi to nattaka

価格(Price ¥) : 1,750円
ISBN 9784121101402
Series シリーズ Chuko sensho ; 139
中公選書 ; 139
Author 著者 Igarashi, Motomichi
五十嵐元道
Publisher 出版社 Chuo Koron Shinsha
中央公論新社
Pub. place 出版地 Tokyo
東京
Pub. date 出版日 2023.07
Status 状態
Ref No. JPTB2308-0031
NDC 3: Social Science 社会科学
第23回大佛次郎論壇賞(朝日新聞社主催)を受賞

戦争全体の把握にはデータが肝要だ。特に死者数のデータは、戦争の規模、相手との優劣比較で最も説得力を持つ。ただ発表されるデータが正しいのかは常に疑念があるだろう。ウクライナ戦争での戦死者数についても、ウクライナ、ロシア双方から発表される数字は異なる。では、そうしたデータはどのように集められてきたのか。
 戦場での死者数は、総力戦となった第1次世界大戦以降、国家による将兵だけの把握では難しくなり、赤十字国際委員会、国際連盟といった国際機関が介在していく。しかし第2次世界大戦後、特定地域での内戦・紛争・ゲリラ戦が頻発。政府側・反政府側で異なる数字が発表されていく。大国間対立で国連が機能不全に陥るなか、国際的な人道ネットワークが、先進各国や国連の支持を受け、死者数の調査・精査を行い発表していく。
 本書では、特に1960年代以降のベトナム戦争、ビアフラ内戦、エルサルバドル内戦から、第3次中東戦争、イラン・イラク戦争、旧ユーゴ紛争、そして21世紀のシリア内戦、ウクライナ戦争を辿る。その過程で国際的な人道ネットワークが、統計学や法医学の知見を取り入れ、どのように戦争データを算出するようになったか、特に民間人死者数に注目する。また、データをめぐる人々の苦闘にも光を当てる。
20cm. ; 280 p.