女の子たち風船爆弾をつくる

女の子たち風船爆弾をつくるOnnanokotachi fusen bakudan o tsukuru

価格(Price ¥) : 2,500円
ISBN 9784163918358
Series シリーズ
(第78回毎日出版文化賞受賞作)
Author 著者 Kobayashi, Erika
小林エリカ
Publisher 出版社 Bungei Shunju
文藝春秋
Pub. place 出版地 Tokyo
東京
Pub. date 出版日 2024.05
Status 状態
Ref No. JPTB2411-0358
NDC 9: Literature 文学
第78回毎日出版文化賞(文学・芸術部門)受賞作

日露戦争30周年に日本が沸いた春、その女の子たちは小学校に上がった。できたばかりの東京宝塚劇場の、華やかな少女歌劇団の公演に、彼女たちは夢中になった。彼女たちはウールのフリル付きの大きすぎるワンピースを着る、市電の走る大通りをスキップでわたる、家族でクリスマスのお祝いをする。しかし、少しずつ、でも確実に聞こえ始めたのは戦争の足音。冬のある日、軍服に軍刀と銃を持った兵隊が学校にやってきて、反乱軍が街を占拠したことを告げる。やがて、戦争が始まり、彼女たちの生活は少しずつ変わっていく。来るはずのオリンピックは来ず、憧れていた制服は国民服に取ってかわられ、夏休みには勤労奉仕をすることになった。それでも毎年、春は来て、彼女たちはひとつ大人になる。
ある時、彼女たちは東京宝塚劇場に集められる。いや、ここはもはや劇場ではない、中外火工品株式会社日比谷第一工場だ。彼女たちは今日からここで、「ふ号兵器」、すなわち風船爆弾の製造に従事する……。

膨大な記録や取材から掬い上げた無数の「彼女たちの声」を、ポエティックな長篇に織り上げた意欲作。
400 p. ; 20 cm.