交渉破棄責任の実証的研究

交渉破棄責任の実証的研究Kosho haki sekinin no jisshoteki kenkyu

価格(Price ¥) : 5,700円
ISBN 9784535520721
Series シリーズ
Author 著者 Chino, Hiroyuki
千野博之
Publisher 出版社 Nihon Hyoronsha
日本評論社
Pub. place 出版地 Tokyo
東京
Pub. date 出版日 2015.01
Status 状態
Ref No. JPTL1501-0013
NDC 3: Social Science 社会科学
具体的な裁判例に基づき、契約交渉の破棄に係る責任の成立要件および判断過程等を、実務家の視点から実証的に考察する。A5判、384ページ。
<目次>
第1章 序論
第1節 検討課題の設定
第2節 本稿の構成

第2章 交渉破棄の責任に関する学説の紹介と検討
第1節 学説の紹介
1 交渉の段階的な進捗状況を考慮する見解
2 交渉段階における合意(中間的合意)を考慮する立場
3 交渉の態様等によって分類する見解
4 その他の見解
第2節 学説の検討とメルクマールの設定
1 裁判例の分析に当たっての考察事項
2 メルクマールの設定

第3章 裁判例の紹介と検討
第1節 最高裁判決の紹介と検討
1 交渉破棄に関する判例
2 政策変更における行政の責任に関する判例
第2節 下級審判決の紹介と検討

第4章 裁判例の分析
第1節 メルクマールに基づく分析
1 分析の視点
2 裁判例の全体的分析
3 契約成立への期待ないし信頼
4 信義則上の義務の内容
5 正当事由の有無
6 「契約成立への期待ないし信頼」、「正当事由の有無」と責任の成否
7 損害賠償の範囲
8 その他の事情
9 責任の法的性質
第2節 交渉破棄の責任に関する学説に即した分析
1 交渉段階を三段階に分類する立場からの分析
2 「契約交渉の進捗状況」と「交渉相手方の利益」を考慮する立場からの分析
3 契約交渉段階における「合意」を重視する立場からの分析
4 「誤信惹起型」と「信頼裏切り型」とに類型化する立場からの分析
第3節 「契約成立への期待ないし信頼」と「正当事由」との関係
1 問題の所在
2 「契約成立への期待ないし信頼」の発生を否定する根拠
3 交渉破棄の責任を否定する「正当事由」の事情
4 交渉破棄の責任が否定されない「正当事由」の事情

第5章 交渉破棄の責任の成立要件・判断過程の統一的把握の試み
第1節 裁判例における責任の成立要件・判断過程の統一的把握
1 政策変更における行政の責任に関する判例を除く裁判例についての分析
2 政策変更における行政の責任に関する裁判例を踏まえた分析
3 若干の考察
第2節 不法行為責任としての交渉破棄の責任の成立要件・判断過程

第6章 結び

第2部 交渉破棄責任をめぐる諸問題
第1章 融資取引における契約締結上の過失責任(交渉破棄責任)
第1節 はじめに
1 本章の目的
2 本章の構成
第2節 契約締結上の過失責任(交渉破棄責任)をめぐる議論状況
1 交渉破棄責任に関する学説
2 裁判例にみる交渉破棄責任の責任成立要件
3 民法(債権関係)の改正に関する動向
第3節 裁判例の分析
1 分析の視点
2 裁判例の概観
3 融資契約の成否
4 契約成立への期待ないし信頼
5 信義則上の義務内容
6 正当事由の有無
7 損害賠償の範囲
8 責任の法的性質
9 交渉段階を三段階に分類する立場からの分析
10 「誤信惹起型」と「信頼裏切り型」とに類型化する立場からの分析
第4節 個別問題についての若干の検討
1 融資契約の成否についての判断
2 消費貸借の要物性と「契約成立への期待ないし信頼」の判断
3 正当事由の有無の判断と融資判断の相当性との関係
4 契約成立後の借主の信用悪化による融資拒絶と契約締結上の過失責任
5 民法419条と契約締結上の過失責任における損害賠償の範囲
第5節 結語(まとめ)

〈裁判例一覧〉

第2章 労働契約における契約締結上の過失責任(交渉破棄責任)
第1節 はじめに
1 本章の目的
2 本章の構成
第2節 契約締結上の過失責任(交渉破棄責任)をめぐる議論状況
1 交渉破棄責任に関する学説
2 裁判例にみる交渉破棄責任の責任成立要件
3 民法(債権関係)の改正に関する動向
4 労働法分野における議論状況
第3節 裁判例の分析
1 分析の視点
2 裁判例の概観
3 契約成立への期待ないし信頼
4 信義則上の義務内容
5 正当事由の有無
6 損害賠償の範囲
7 その他の事情
8 責任の法的性質
9 交渉段階を三段階に分類する立場からの分析
10 「誤信惹起型」と「信頼裏切り型」とに類型化する立場からの分析
11 小括
第4節 労働法分野における議論と契約締結上の過失責任
1 労働契約ないし採用内定の成否
2 採用内定、内々定の法的性質
3 新卒採用の場合とそれ以外の採用の場合における責任判断の相違
4 採用内定成立前の交渉段階における契約締結上の過失責任
5 内定辞退、内々定辞退と契約締結上の過失責任
6 その他
第5節 結語(まとめ)
〈裁判例一覧〉

第3章 交渉破棄における商人の報酬請求権に関する一考察
 契約締結上の過失責任と商法512条の報酬請求権との比較検討
第1節 本章の目的(問題の所在)
第2節 契約締結上の過失責任と商法512条の報酬請求権の内容的相違
1 契約締結上の過失責任の内容
2 商法512条の報酬請求権の内容
3 契約締結上の過失責任と商法512条の内容的相違と適用関係
第3節 裁判例の分析
1 対象裁判例
2 裁判例における商法512条の報酬請求権の判断過程
3 報酬請求権とともに契約締結上の過失責任が争点となった裁判例における契約締結上の過失責任の判断内容
4 契約締結上の過失責任と商法512条の報酬請求権についての判断の関係
第4節 交渉破棄における商法512条の報酬請求権の位置づけ
1 裁判例の分析結果に基づく商法512条の報酬請求権についての考察
2 まとめ
〈裁判例一覧〉

第4章 政策決定(変更)における行政の責任に関する一考察
 最高裁判所昭和56年1月27日判決とその後の裁判例の検討を通じて
第1節 はじめに(本章の目的)
第2節 わが国における議論状況
1 政策決定(変更)における行政の責任に関する議論状況の概要
2 損失補償責任とする立場
3 不法行為責任とする立場
4 計画担保責任(計画保障請求権)とする立場
5 行政法分野のその他の見解
6 民法分野の見解
7 最高裁調査官解説
8 小括
第3節 裁判例の検討
1 裁判例の分析の視点と分類
2 交渉破棄事例に類似する事例として分類できる裁判例
3 不当表示事例に類似する事例として分類できる裁判例
4 その他の裁判例(既得権的な地位等への信頼保護が問題とされた事案)
5 小括
第4節 まとめ
1 責任の法的性質
2 56年判決の判断基準の適用範囲とその展開
3 交渉破棄事例類似事案における責任成立の要件
4 結語
〈裁判例一覧〉

終 章 総括
1 交渉破棄責任の判断構造の理解と残された課題
2 交渉破棄における商人の報酬請求権の検討と今後の動向
3 政策決定(変更)における行政の責任に関する動向と今後の課題